「私は、なんのために生かされているのだろう」。そう感じた瞬間が、これまでに何度もありました。
最初は、中学生のころ。思春期特有の病いを発症、校内で突然何度も倒れ、周りに迷惑をかけました。2度目は、あまりに過度な校則に耐え切れず、いわゆる名門進学校(高校)を中退したとき。その後、「大検(大学入学資格検定/当時)」に合格、大学に入学できるまでは、真っ暗なトンネルを彷徨いました。
そして3度目は、90年代後半。大手出版社を退社したあと、仕事上で知り合った男性から「ストーカー」被害に遭った際です。当時は私も家族も殺されそうになり、怖くて外にも出られず、仕事も平和な日常も、すべて奪われました。約半年間、離乳食以外は何も食べられない状態でした。
それでも、自分は生きている。温かい両親や親友、先輩、そして今の夫(当時の交際相手)に何度も何度も助けられ、いまという時代を生きている。
なぜなのか。それはたぶん、周りの方々はもちろん、以前の私と同じかそれ以上に悩み、もがいている女性や若者たちに、もっと生きやすい、あるいは未来に希望を持てる時代をプレゼントするため、に違いない……。
そこで01年、女性が自分らしく働き続けられる会社を目指しマーケティング会社・インフィニティを起業。弊社の女性スタッフや企業各社と、商品・サービス開発に向けた数多くの消費者インタビュー(定性調査)を行ないながら、「おひとりさま(マーケット)」や「草食系(男子)」、「年の差婚」などのキーワードを世に広めてきました。
また、19年には、働きながら通学した立教大学大学院(MBA)にて、経営管理学修士を取得(成績優秀賞・優秀論文賞受賞)。翌20年からは同大学院にて、客員教授として、「Consumer Behavior(消費者行動論)」を教えています。
仕事に没頭して子どもを産みそびれた私にとって、次世代の若者やビジネスパーソンになにかを伝えていくことは、使命であり、喜びでもあります。半面、起業当初の思い、すなわち社会に「ココロのイノベーション」をプレゼントできているかといえば、まだまだです。
私たちマーケッターの仕事は近年、デジタルやAIにより、驚くほど革新的な進化を遂げています。それでも、根底にあるのは「人」のココロや思い。
手法は変われど、今度もあらゆる世代や性、地方、国籍などの「壁」を超えていきたい。そして、一人ひとりの意識の奥にある潜在ニーズや価値観に寄り添いながら、人々のココロに「イノベーション」を起こしたい。
エリートとはほど遠い「規格外」の私ですが、いつかどこかで皆さまとお会いできる日を夢みて、これからも日々、努力を重ねて参ります。どうぞ今後とも、何卒よろしくお願い致します。
インフィニティ代表取締役